一度吸い込まれたらもう出られない。どんなものも吸収してしまう、恐ろしい黒い穴。
小さい頃に思い描いていたブラックホールのイメージだ。今も、宇宙空間にある得体の知れない穴だと思っている(調べてみても理解ができない)。
そんなブラックホールが、実家のダイニングテーブルの下にある。
私は日常的に、コロコロと食べ物をこぼす。
米粒、ほぐした焼き魚、豆類、こぼしやすいものは大体こぼしてきた気がする。
まあお分かりだろうが、それらは箸から私の体をつたってダイニングテーブルの下へゆく。
そして、二度と見つからない。
絨毯のアラベスク模様がより見つけづらくしているのだが、にしても見つからない。
手のひらで撫でても凸がない。
数分根気強く探すが、もう探す前から半分諦めている。家族総出で床をはいでみてもだめだった。
だからもう
実家のダイニングテーブルの下はブラックホールと呼ぶことにした。こぼしたものが見つからなくても天文学的な話になってしまうので、致し方ないのだ。
あーこわい。